歯科コラムcolumn

インプラントの生着率 ― 成功率の裏にある、誠実な治療とは ―2025/10/18

インプラント治療と聞くと、「成功率」や「長持ちするのか」が気になる方は多いと思います。
実際、世界中の多くの研究でインプラントの生着率は**およそ95〜98%**と報告されています。
これは非常に高い数字であり、現代の歯科医療の中でも最も安定した治療のひとつといえます。
しかし、ここで大切なのは「100%ではない」という事実です。

世界最高レベルでも100%ではない

どんなに経験豊富な外科医が行っても、インプラント手術に“絶対”は存在しません。
世界で最も優れたインプラント専門医が執刀したとしても、100%生着するということはありえません。
なぜなら、人の身体には個体差があり、骨の質や血流、免疫の反応、さらには手術後の生活習慣など、成功率に影響を与える要素が数多く存在するからです。

また、どれだけ清潔な環境で手術を行っても、体温の上昇や一時的な炎症、細菌の侵入といった偶発的なトラブルが起きることがあります。
これは医療という行為における「避けられない不確実性」であり、むしろ重要なのは、そのリスクを正直に説明し、起きた時にどう対処するかです。

成功率を支える「準備」と「環境」

調布歯科・矯正歯科では、生着率を少しでも高めるために、CT撮影による骨の診断、サージカルガイドによる精密な埋入、滅菌環境の徹底など、すべての工程を妥協なく行っています。
手術室は空気清浄機能を備え、使用する器具はすべてクラスB滅菌。
血管や神経を避けるための術前シミュレーションも全症例で実施し、術者の技術だけに頼らない体制を整えています。
こうした“事前の準備”が、成功率の高さにつながります。

それでも起こりうること ― リスクと向き合う姿勢

インプラントが骨にうまく結合しないことを「オッセオインテグレーション不全」と呼びます。
これは、骨の再生がうまく進まなかったり、術後に細菌感染が生じたりすることで起こります。
頻度としてはごくわずかですが、ゼロではありません。
だからこそ私たちは、手術前に「リスクがある」ということを正直にお伝えし、
そのうえで「もし起きたとき、どう対応するか」を明確に説明しています。

患者さんにとって不安なのは、失敗そのものではなく、“失敗した後どうなるのか”が見えないこと。
その点を曖昧にせず、具体的なリカバリープランまで共有することが、信頼関係を築く第一歩だと考えています。

リカバリーの力と、保証の体制

もし万一、インプラントが生着しなかった場合には、再手術によるリカバリーを行います。
骨の再生を待ってから再埋入するケースもあれば、他の部位に移動して計画を立て直す場合もあります。
再埋入時には、初回のデータをもとに原因を分析し、感染や圧力分布の改善など、再発を防ぐ対策を取ります。
また、当院では一定の期間内であれば保証制度を設けており、再治療や補綴の再作製にかかる費用を患者様の負担が最小限になるようサポートしています。

「何かあったときに、どこまで責任をもってくれるのか」
その姿勢こそが、医療における本当の安心ではないでしょうか。

長期安定を支えるメンテナンス

インプラントが生着した後も、メンテナンスは欠かせません。
定期的なクリーニングとチェックを通して、インプラント周囲炎を防ぐことが、生着率を保つ最も確実な方法です。
術後もCTやスキャンのデータを保管し、数年後の骨の変化を比較できる体制を整えています。
これは、見えない部分で患者様の健康を長く支えるための“デジタルなカルテ”でもあります。

まとめ ― 「成功率」よりも「誠実さ」

インプラントの成功率が高いことは事実です。
ただし、それを過信せず、医療の不確実性を理解したうえで信頼関係を築くことこそが大切だと私たちは考えています。
100%の結果を約束することは誰にもできません。
しかし、「100%向き合うこと」はできます。
それが、私たち調布歯科・矯正歯科のインプラント治療における信念です。


院長コメント

インプラントは素晴らしい治療ですが、万能ではありません。
世界最高の技術を持つ人が行っても、100%成功するということはありません。
だからこそ、私たちは「何が起きても責任をもって対応する」という姿勢を何より大切にしています。
トラブルをゼロにすることは難しくても、リカバリーの力と誠実な説明で、患者様に安心を感じていただくことはできます。
成功率という数字よりも、最後まで寄り添う姿勢。
それが、医療としての本当の価値だと信じています。

24時間受付WEB診療予約