歯科コラムcolumn

FGG(遊離歯肉移植術)およびCTG(結合組織移植術)について2024/07/24

歯科治療において、歯肉の健康は非常に重要です。歯肉の問題は歯の安定性や健康に影響を与えるため、適切な治療が必要です。FGG(Free Gingival Graft)およびCTG(Connective Tissue Graft)は、歯肉の健康を回復し、維持するための重要な治療法です。以下では、FGGとCTGの概要、適応症、利点、欠点について詳しく説明します。

FGG(遊離歯肉移植術)とは

FGGは、歯肉退縮や付着歯肉の不足を改善するために行われる手術です。硬い歯肉が不足している部位に新しい歯肉を移植し、歯の安定性を高めることが目的です。通常、口腔内の他の部位(一般的には上顎の口蓋)から歯肉を採取し、必要な部位に移植します。FGGは、歯肉の厚みと強度を増すために特に効果的です。

適応症

FGGは、次のような場合に適用されます:

歯肉が退縮して歯根が露出している場合

硬い歯肉が不足して歯の周囲の軟組織が弱い場合

歯肉の健康を保つために硬い歯肉を増やす必要がある場合

研究によると、FGGは歯肉退縮の治療において長期的な安定性を提供する有効な手法です(Wennström JL. Mucogingival therapy. Ann Periodontol. 1996)。

手術の流れ

採取部位の選定と準備 上顎の口蓋から硬い歯肉を採取する部位を選定し、局所麻酔を行います。採取部位を消毒します。

歯肉の採取 上顎の口蓋から適量の硬い歯肉を切り取ります。採取した歯肉片を適切に保管します。

移植部位の準備 移植する部位を清潔にし、準備します。移植部位の歯肉を軽く削り、移植する歯肉がしっかりと定着できるようにします。

移植 採取した硬い歯肉を移植部位に縫合します。移植部位を保護し、治癒を促進します。

治癒プロセス 移植部位と採取部位の両方が治癒するまで、数週間にわたり経過を観察します。術後のケアとして、患者には適切な口腔ケアを指示します。

利点

硬い歯肉を補充し、歯の安定性を向上させます。移植された硬い歯肉が歯肉退縮を防止します。硬い歯肉は長期間にわたり機能を維持します。

欠点

手術後の不快感や痛みがあります。採取部位と移植部位の両方が治癒する必要があります。手術後のケアが必要です。

CTG(結合組織移植術)とは

CTGは、歯肉退縮や審美的な改善を目的とした手術です。口腔内の結合組織を採取し、歯肉の下に移植します。これにより、歯肉の厚みを増し、歯肉退縮を改善します。CTGは、特に審美的な改善に優れ、長期的な安定性が確認されています。

適応症

CTGは、次のような場合に適用されます:

歯肉が退縮して歯根が露出している場合

歯肉の厚みを増し、見た目を改善する必要がある場合

歯根の露出を防ぎ、知覚過敏を改善する場合

研究によると、CTGは歯肉退縮の治療において、特に前歯部の審美的改善に効果的です(Zuhr O, Rebele SF, Thalmair T, Fickl S, Wachtel H, Hürzeler MB. A modified technique for the treatment of recession-type defects: a prospective case series. Int J Periodontics Restorative Dent. 2009)。

手術の流れ

採取部位の選定と準備 上顎の口蓋から結合組織を採取する部位を選定し、局所麻酔を行います。採取部位を消毒します。

結合組織の採取 上顎の口蓋から適量の結合組織を切り取ります。採取した結合組織を適切に保管します。

移植部位の準備 移植する部位を清潔にし、ポケットを作成します。移植部位の歯肉を軽く削り、移植する結合組織がしっかりと定着できるようにします。

移植 採取した結合組織を歯肉の下に移植し、縫合します。移植部位を保護し、治癒を促進します。

治癒プロセス 移植部位と採取部位の両方が治癒するまで、数週間にわたり経過を観察します。術後のケアとして、患者には適切な口腔ケアを指示します。

利点

歯肉の厚みを増し、歯肉退縮を改善します。歯肉の見た目を改善し、自然な笑顔を提供します。歯根の露出を防ぎ、知覚過敏を軽減します。

欠点

手術後の不快感や痛みがあります。採取部位と移植部位の両方が治癒する必要があります。手術後のケアが必要です。

FGGとCTGの違い

採取する組織の種類

FGG:硬い歯肉を採取し、移植します。CTG:結合組織を採取し、歯肉の下に移植します。

適応症の違い

FGG:硬い歯肉の不足や歯肉退縮の防止に適しています。CTG:歯肉退縮や審美的な改善に適しています。

手術の目的

FGG:硬い歯肉を補充し、歯の安定性を向上させます。CTG:歯肉の厚みを増し、審美的な改善を図ります。

手術後のケアと注意点

術後のケア

指示された口腔ケアを守ります。強い力でのブラッシングを避けます。定期的な検診とクリーニングを受けます。

注意点

手術後の不快感や腫れは数日続くことがあります。採取部位と移植部位の両方のケアが必要です。指示された薬の服用やケアを怠らないようにします。

まとめ

FGG(遊離歯肉移植術)およびCTG(結合組織移植術)は、歯肉の健康を回復し、維持するための重要な治療法です。硬い歯肉の不足や歯肉退縮、審美的な改善が必要な場合に有効です。調布歯科・矯正歯科では、患者様一人ひとりに最適な治療法を提案し、安心・安全な歯科治療を提供しています。FGGやCTGに関するご質問やご相談がございましたら、ぜひ当院にご相談ください。

引用文献

Wennström JL. Mucogingival therapy. Ann Periodontol. 1996;1(1):671-701. Zuhr O, Rebele SF, Thalmair T, Fickl S, Wachtel H, Hürzeler MB. A modified technique for the treatment of recession-type defects: a prospective case series. Int J Periodontics Restorative Dent. 2009;29(4):375-383.

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