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矯正治療とインプラント2025/08/17
歯を失ったとき、多くの方がまず考えるのは「早く噛めるようにしたい」「見た目をきれいに戻したい」ということです。インプラントはその希望を叶える有効な治療法として広く知られています。しかし、実際にはインプラントをただ埋めるだけでは、必ずしも長持ちする治療にはなりません。何より大切なのは、そもそもなぜ歯を失ってしまったのか、その原因を徹底的に調べることです。
歯を失った理由は人によってさまざまです。虫歯や歯周病が直接的な原因になっていることもあれば、咬み合わせや歯並びの不具合が深く関係していることもあります。例えば、奥歯が内側に倒れ込んでしまっている場合や、一部の歯にだけ強い力が集中している場合があります。こうした力の偏りは歯を弱らせ、結果的に歯を失う原因になっていくのです。もしその問題を解決しないままインプラントを入れてしまえば、せっかく治療をしても同じ理由でまた別のトラブルを起こしてしまう可能性があります。
特に注意が必要なのが、矯正治療との関係です。歯並びや奥歯の位置に問題がある場合、インプラントを入れる前に矯正を絡めて治療を進めた方がいいケースが少なくありません。その理由はシンプルで、インプラントは天然の歯と違って「動かすことができない」からです。何も考えずに先にインプラントを打ってしまうと、後から歯並びを整えようとしたときに、そのインプラントが邪魔になってしまい、矯正治療がうまく進まなくなることがあります。逆に、矯正を先に行い、歯並びと噛み合わせを整えた上で必要な場所にインプラントを入れることで、見た目も噛みやすさも大きく改善しますし、長期的に安定した結果が得られます。
調布歯科・矯正歯科では、インプラント治療を希望される患者さんに対して、まず徹底した診査診断を行います。口腔内の写真撮影やレントゲンだけでなく、三次元的に骨の状態を把握できるCT撮影も行い、どこに問題があるのかを詳細に調べます。歯を失った原因が歯周病なのか、噛み合わせの問題なのか、それとも複数の要素が絡み合っているのかを見極めたうえで、治療の順序や方法を慎重に決めます。
こうした姿勢の背景にあるのが「全顎的な治療設計」という考え方です。これは、お口全体をひとつのバランスのとれたシステムと捉え、噛む機能や見た目の美しさ、そして清掃のしやすさや将来の安定性まで考えて治療計画を立てる方法です。たとえば、単純に欠けた歯を埋めるだけの発想ではなく、「なぜその歯を失ったのか」「これから10年後も快適に噛める状態にするには何が必要か」という問いかけから治療を始めます。そのため、矯正治療や歯周治療、かぶせ物の再設計など、複数の分野を組み合わせたアプローチが必要になることもあります。
当院にはインプラントの専門医が在籍していますが、それだけではありません。補綴(かぶせ物やブリッジの設計)、矯正、歯周治療に精通した歯科医師がチームを組み、互いの知識と技術を組み合わせて患者さんに最適な治療計画を立てています。この体制があるからこそ、単純にインプラントを「打つだけ」の治療ではなく、原因を解決し、将来まで見据えた治療が可能になります。
患者さんの中には、「とにかく早く歯を入れてほしい」という気持ちで来院される方もいます。その気持ちはとてもよくわかります。しかし、急いでインプラントを入れてしまった結果、後から矯正やかぶせ物の調整が必要になり、かえって遠回りになってしまったケースもあります。そうならないためにも、まずは全体を診て、正しい順番で治療を進めることが大切です。
矯正とインプラントをうまく組み合わせることで、歯並びと噛み合わせが整い、インプラントも長く安定して機能します。見た目だけでなく、噛む機能や将来の健康まで考えた治療を受けたい方は、調布歯科・矯正歯科に一度相談してください。長期的に安心できるインプラント治療を目指して、最初の診断から丁寧に取り組んでいます。