歯科コラムcolumn

調布歯科・矯正歯科の口腔内スキャナー2025/10/11

MEDITとiTeroで支える精密で快適な診療

歯の治療で「型取り」と聞くと、あの独特の材料のにおいと、長い時間口を開けていなければならない不快な感覚を思い出す方も多いと思います。
調布歯科・矯正歯科では、その負担を少しでも軽減しながら、より正確で再現性の高い治療を行うために、MEDITとiTero(アイテロ)という2種類の口腔内スキャナーを導入しています。

どちらも口の中を小型カメラでスキャンし、立体的な3Dデータとして再現する装置です。
ただし実際の使い心地は全く異なり、スキャナーの形状・重さ・反応スピード・データの処理方法まで、それぞれに個性があります。
当院では、それぞれの特性を理解した上で、症例や目的に合わせて柔軟に使い分けています。

デジタルによる型取りとは

従来の型取りでは、シリコンやアルジネートと呼ばれる印象材を使い、
トレーを口の中に入れて数分間保持する必要がありました。
小さなお子さんや嘔吐反射の強い方にとっては、なかなかつらい工程だったと思います。

口腔内スキャナーでは、その必要がありません。
細いカメラを使って歯の表面をなぞるようにスキャンすると、
数秒のうちにお口の中が立体データとしてモニター上に再現されます。
データは精密で、歯の凹凸・歯肉の形・咬み合わせまで正確に記録できます。
しかも材料を使わないため、型の変形や誤差も起きません。

「型を取る」というより、「口の中をそのままデジタルで記録する」感覚に近いかもしれません。
このスキャンデータはそのまま技工士と共有できるため、補綴物やマウスピース、矯正用アライナーの製作が早く、正確になります。

MEDITとiTero、それぞれの特徴と使い方

MEDITは軽量で小回りが利き、スキャンスピードが速いのが特徴です。
被せ物やセラミック、ラミネートベニアといった補綴治療の際に特に活躍しています。
歯と歯肉の境界がはっきりと見えるため、仕上がりの精度が非常に高く、
クラウンの適合性やマージン(境界ライン)の美しさにも大きく貢献しています。
また、撮影後すぐに院内でデータ確認と微修正ができるので、
その場で再スキャンすることも可能です。

一方で、iTeroは矯正治療との相性が非常に良く、
スキャンした瞬間に歯並びを3D化し、歯がどのように動くかを予測するシミュレーションが表示されます。
患者さん自身が「矯正したら自分の歯がこうなる」という未来を、
モニター上で具体的に見ることができるのです。
矯正を担当する専門医が治療計画を立てる際にもこのデータを活用しており、
歯の移動量・咬合の高さ・アライナーのステップなどを正確に設計することができます。

調布歯科・矯正歯科では、
補綴治療やインプラント設計など細部の精密さを求めるケースではMEDIT、
矯正治療や咬合分析など歯列全体の動きを重視する場合はiTeroを使用しています。
どちらか一方が優れているわけではなく、
「その患者さんに今必要な情報を、最も正確に得られる方を選ぶ」ことを基本としています。

二つの機器を持つ意味

口腔内スキャナーはどれも高性能ですが、万能ではありません。
機種によって得意な領域があり、どんな症例にも一台で完璧に対応することはできません。
だからこそ、当院では二種類を導入しています。
MEDITとiTeroの両方を使い分けることで、
補綴から矯正、インプラント、さらには咬合再構成まで、
どの治療にも最適な精度を保てる環境を整えています。

実際の診療では、「この症例はMEDITのほうが精細に出るね」「今回はiTeroのほうが動きが見やすいね」と、
その場の治療内容や目的に応じて自然に判断しています。
これは“機械を使い分ける”というより、
“患者さん一人ひとりの治療を最も良い形で仕上げるための選択”です。

見えることで理解が深まる

スキャンが終わると、画面上にご自身の歯が立体的に映し出されます。
歯列のずれや噛み合わせの高さ、歯肉の状態までリアルタイムで確認でき、
患者さん自身が「今、自分の口がどうなっているか」を目で理解できます。
これまで説明だけでは伝わりづらかった部分も、
映像で見ることで納得して治療を進めていただけるようになりました。

この“可視化された医療”は、デジタル技術の最大のメリットの一つです。
歯科医師にとっても、データをもとにした精密な診断と設計が可能になり、
患者さんと同じ画面を見ながら治療方針を共有することで、
より信頼関係のあるコミュニケーションが生まれています。

デジタルの精度と人の感性を融合させて

どれほど高性能なスキャナーを使っても、
最終的に治療の質を決めるのは「人の目」と「判断力」です。
データが正確であることは大前提ですが、
そこから何を読み取り、どう設計に反映するかは歯科医師の経験と感性に委ねられます。

調布歯科・矯正歯科では、デジタルを「人の技術を支える道具」として位置づけ、
スタッフ全員がその特徴を理解し、常に最適な選択をすることを心がけています。
MEDITとiTeroの両輪で、
補綴から矯正、インプラントまで一貫して“見える精密医療”を提供すること。
それが、当院がデジタル化を進める最大の目的です。

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