歯科コラムcolumn
“できるだけ歯を削らずに、自然に補う”――接着性ブリッジという新しい選択肢2025/07/27
1本だけ歯を失ってしまったとき、どのように治療するか迷われる方は多いと思います。
「インプラントは怖い」「入れ歯は避けたい」「でも、ブリッジで健康な歯を削るのも不安」――
そんな声に応える治療法として、私たち調布歯科・矯正歯科では接着性ブリッジをご案内しています。
これは、できる限りご自身の歯を削らず、審美的にも自然な見た目を保ちながら、失った歯を補うことができる治療方法です。とくに前歯の欠損に対して、有効で信頼性の高い補綴手段として近年あらためて注目されています。
健康な歯を守りながら、機能と見た目を回復する治療
一般的なブリッジ治療では、失った歯の両隣の歯を大きく削って支台歯にし、その上に橋渡しのように人工歯をのせます。しかし、健康な歯を大きく削ってしまうことに抵抗を感じる方も多くいらっしゃいます。
一方、接着性ブリッジは、隣の歯の裏側(舌側または口蓋側)に最小限の処理を行い、そこに特殊な接着剤で人工歯を固定するという方法です。外科的な処置は行わず、周囲の歯へのダメージもごくわずか。エナメル質の上に直接接着するため、神経を残したまま処置が可能で、長期的にも安定した結果が期待できます。
この治療は、技術的には1980年代から存在していましたが、当時は接着剤の性能が不安定だったこともあり、予後に課題がありました。
しかし近年は材料の進歩により、10年以上の使用でも良好な経過を示す症例が増えており、接着性ブリッジは“見直されるべき選択肢”として再評価されています。
接着ブリッジは“どんな歯にも使える”わけではありません
この治療法には明確な適応の条件があります。とくに重要なのは次の2点です。
- 前歯部に限られること
臼歯や小臼歯には、噛む力が強くかかるため、接着部分に過剰な負担がかかりやすく、脱離や破折のリスクが高まります。そのため、当院では上顎前歯や下顎前歯の1本欠損に対してのみ接着ブリッジを選択肢としてご提案しています。 - 支えとなる歯のエナメル質がしっかり残っていること
接着強度を確保するためには、天然のエナメル質が一定量必要です。過去に大きく削られていたり、詰め物が多い歯では接着の安定が難しく、他の方法をおすすめする場合もあります。
当院での接着性ブリッジの流れ
接着性ブリッジは“ただ貼りつけるだけ”の簡易な処置と思われがちですが、実際は精密な設計と診断が欠かせない、技術的に高度な治療です。調布歯科・矯正歯科では以下のような流れで行います。
- 精密な診査と設計
歯の位置、かみ合わせ、支台歯の角度、笑ったときの見え方などをすべて確認し、適応可能かを慎重に判断します。 - 最小限の切削と印象採得
必要に応じて、支台歯の裏面にごくわずかな処理を行い、正確な型取りを行います。歯の表側にはほとんど手を加えません。 - 技工士によるオーダーメイド製作
専属の歯科技工士が、色・形・透明感までを細かく調整し、周囲の歯に溶け込むような人工歯を製作します。 - 接着・仕上げ
専用の接着材を使って装着し、かみ合わせや清掃性を丁寧に調整します。 - 定期的なメインテナンス
定着後の経過観察も重要です。歯ぐきや接着部分の状態を継続的にチェックし、長期安定性を支えます。
「歯を削るのが怖い」「インプラントは避けたい」そんな方に
接着性ブリッジは、インプラントのように外科処置を伴わず、入れ歯のような異物感もなく、自然な見た目を実現できる方法です。もちろん適応には限りがありますが、条件が合えば低侵襲・高審美・高安定性という3つの要素を同時に満たすことができる、非常に優れた治療です。
「歯を失ったけれど、できるだけ削りたくない」
「前歯の見た目を自然に回復したい」
「インプラントやブリッジのほかに、別の選択肢を知りたい」
そんな方は、ぜひ一度、調布歯科・矯正歯科までご相談ください。患者さまのご希望やお口の状態に合わせて、もっとも負担が少なく、自然に仕上がる方法をご提案いたします。